おなかと内視鏡のコラム

おなかの中の七つ道具 -内視鏡七変化-

暗いおなかの中を検査する内視鏡には、基本的な診る機能と、それを補助する機能、さらに発展させる追加機能を持ち合わせています。基本的な機能として、まず病巣部位を見るためのレンズとライトがついています。

消化器内視鏡の構造
消化器内視鏡の構造

補助機能としては、体液や出血などによるレンズの汚れを水で洗浄後、空気で水気を吹き飛ばす機能を持つ送気・送水ノズルの他、体液や空気を吸い出すポンプの役割を果たす吸引口がついています。この吸引口は、内視鏡でおなかを観察する時の補助機能にとどまらず、処置・治療まで行うための鉗子口(かんしこう)という役割も兼ねています。鉗子口とは、内視鏡を通じて様々な処置具を挿通し内視鏡の先端から出すための穴の入口です。内視鏡の可能性はこの穴のおかげで飛躍的な発展を遂げました。この穴を通して、組織などを挟みとる鉗子や、ブラシ、注射針など様々な処置具の操作ができるようになったのです。そして道具としての処置具もさまざまに開発され、形状や大きさの違いなどを含めると、その種類は1000近くにもなるといわれています。たとえば、ごく微小な初期のがんなどの病巣では、身体の負担をできるだけ少なく、メスを使うことなく内視鏡で切除できるようになってきたのも、この穴を持った内視鏡と治療を目的に開発されたさまざまな道具のおかげです。

内視鏡は人間の目や口、手を兼ね備え、患者さんの健康のためにおなかの中を探索するためのかしこい道具なのです。

内視鏡先端部と鉗子
内視鏡先端部と鉗子

さまざまな処置具
さまざまな処置具

2004年02月16日

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