おなかと内視鏡のコラム

内視鏡検査と鎮静剤

内視鏡検査を受けた人の感想として、「もう受けたくない」という人もいれば、「全然つらくないから毎年内視鏡検査を受けている」という人など、内視鏡検査に対する感じ方は人それぞれのようです。

検査を“つらい”と感じる要因は、内視鏡という異物が体内に挿入されることによる不安や違和感、内視鏡が喉に触れることによる嘔吐反射などが考えられますが、内視鏡検査を躊躇しているうちに病気が進行してしまっては大変です。そこで、通常行われる“のど麻酔”に加えて、内視鏡検査に対する不安を鎮め、苦痛を感じにくくするために、“鎮静剤”を用いることがあります※1

近年、内視鏡による治療がより高度なものとなり、長い時間を要する治療が行われることが増えてきました。また、検査時の苦痛を軽減してほしいという患者さんからの要望が強くなってきています。それらに応えるため、上部消化管内視鏡検査や大腸内視鏡検査などでは、鎮静剤の使用を含めた内視鏡検査技術が少しずつ進歩してきました。注射などで鎮静剤が投与されると、ぼーっと眠ったような状態(意識レベルが低い状態)で検査を受けることができるため、検査時の苦痛が軽減される効果が期待できます。

ただし、鎮静剤にはわずかながら一定の頻度で偶発症が報告されていること※2や、鎮静剤の効果から覚めるまで検査後1時間程度は安静にする必要があること、検査当日は車の運転などができないことなどのデメリットもあります。また、検査中に呼吸や脈拍などを確認する必要があることなどから、どの医療機関でも実施しているわけではありません。

内視鏡検査は、胃や大腸の病気を早期に発見し治療するためにとても有効な手段です。本当は検査を受けたいけれども内視鏡がどうしても苦手という人は、鎮静剤の使用について、医療機関に相談してみてはいかがでしょうか。

  • ※1 鎮静剤を使用して、体の苦痛(痛み、気持ち悪さなど)や心の苦痛(検査に対する不安など)を感じにくくすることを「セデーション」といいます。
  • ※2 全国518施設が参加したアンケート調査では、2003年から2007年の5年間の消化器内視鏡の鎮静剤使用に関連する偶発症発生率は0.0013%(検査総数12,563,287件中167件)であったと報告されています。
    芳野純治 他, 消化器内視鏡関連の偶発症に関する第5回全国調査報告―2003年より2007年までの5年間―. Gastroenterol Endosc. 2010;52:95-103.

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