おなかと内視鏡のコラム

生活習慣とがんと免疫


発生したがん細胞を退治する免疫

私たちの体の中では、1日に1兆個の新しい細胞ができています。健康な人でもその全部が正常な細胞ではなく、約5000個のがんの元となる細胞の不良品が生まれます。つまり2億分の1の確率です。規則正しい生活習慣を心がけ健康を維持していれば免疫がしっかり働き、モグラたたきのようにできたがん細胞を次々にたたいてくれます。しかし、がん細胞が次々にできて増殖してくると、免疫細胞もたたききれなくなります。
がんをたたききれなくなる要因の1つは、発がん物質などによるがん細胞の増加です。もう1つが、不規則な生活や過度のストレスなどによる免疫機能の低下です。免疫が十分に働かないとがんの発症リスクが高くなります。また、年とともに免疫機能も衰えるため、がん細胞を排除する働きも低下します。若い人より、高齢者にがんが多い理由の一つに、加齢による免疫低下が考えられています。

がん予防のために気をつけたい健康習慣

国立がん研究センターによる「科学的根拠に基づく発がん性・がん予防効果の評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究」によると、がん予防のためには、たばこを吸わない、お酒を飲み過ぎない、塩分を控えめにしたバランスのいい食事と適度な運動を心がけ、適正体型を維持することが大切だとされています。

<たばこを吸わない>

喫煙は、さまざまながんリスクを高くします。たばこには発がん性のある物質が含まれていますが、体の中に入ると酵素で活性化され、DNAと結合し細胞ががん化すると考えられています。喫煙経験者でも20年以上禁煙することで非喫煙者と同等のがんリスクまで下げられるといわれています。また、自分で喫煙をしなくても、他人のたばこの煙もできるだけ避けるといいといわれています。

<適度なお酒>

お酒の飲みすぎは、がん全体のリスクが高まります。大腸、食道、肝臓のがんでは飲酒の影響は大きいとされています。ほぼ毎日飲む人は、日本酒なら1合、ビール大瓶なら1本、焼酎なら2/3合、ウィスキーならダブル1杯、ワインなら1/3ボトルを1日の上限の目安とすると良いといわれています。

<塩分控えめ>

塩分の摂り過ぎは、ほぼ確実に胃がんのリスクを高めます。胃の中で食塩の濃度が高まると粘膜がダメージを受け、胃炎が発生し、発がん物質の影響を受けやすくなると考えられています。1日の食塩摂取量の日本における目安は、男性9g未満、女性7.5g未満が目標です。国際的には5~6g未満が目標とされていますので、塩分は摂り過ぎに注意するのが良いと考えられています。

<適度な運動>

仕事や運動で体を動かす人は、ほぼ確実に大腸がんのリスクが低くなります。がんの可能性が低くなる運動量は、1時間程度の歩行もしくは20~30分の軽い運動や10~20分のジョギングを週6~7日行うのが良いといわれています。65歳以上の高齢者では、座ったままや横になったままにならないように、強度を問わず毎日40分程度の身体活動が目安といわれています。

<適正体型>

BMI値は、体重を身長の2乗で割った数値で、適正値は、21~27くらいです。日本人のBMI値とがんの関係をみると、欧米ほど相関関係はありませんが、閉経後の肥満の女性では、乳がんのリスクが高まることは確実です。また大腸がんや肝がんもほぼ確実とされ、全がんでは男性のBMI値が18.5未満の痩せすぎの人と、女性のBMI値が30以上の人でリスクが高まる可能性があります。

ご紹介した生活習慣のなかでも、禁煙とバランスのいい食事は特に改善する価値があるがんの予防法と考えられています。長い期間を経て習慣となっている生活パターンを変えることは簡単ではないかもしれませんが、ご自身の健康のために身近な生活習慣の改善から試してみてはいかがでしょうか。

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