病気・がん消化管間質腫瘍(GIST)

消化管間質腫瘍(GIST)

消化管間質腫瘍(GIST/ジスト:Gastrointestinal Stromal Tumor)とは消化管の粘膜下の筋肉層(固有筋層)に発生する粘膜下腫瘍の一種です。粘膜から発生する胃や大腸の腫瘍(がん)とは性質や拡がり方が異なります。GISTの発生頻度は、10万人に1~2人と少なく、まれな腫瘍の一つに位置付けられています。日本人における発生部位の内訳は胃が70%と最も高く、次いで小腸が20%、大腸が5%、食道が5%以下となっています。

胃の筋肉層(固有筋層)に発生したGIST
胃の筋肉層(固有筋層)に発生したGIST

<症状>

半数以上が無症状で発見されますが、吐き気、黒色便(タール便)、貧血、腹部腫瘤(しゅりゅう)(腫れ)などが現れることもあります。GISTは内視鏡検査で正常な粘膜の表面が盛り上がった(隆起)状態で発見されることもあります。

<検査>

胃X線造影検査:
バリウムを飲んで胃の形や粘膜の様子を観察し、粘膜の凹凸から病変の位置を確認します。

上部消化管内視鏡検査/大腸内視鏡検査:
通常の内視鏡検査では、粘膜表面が盛り上がった状態(粘膜下腫瘍)でGISTの発生箇所が発見されます。GISTは粘膜表面にできる腫瘍とは異なり粘膜下に発生するので、病変を直接観察したり、組織を採取したりすることが困難です。そのため、GISTが胃粘膜下のどの層から発生しているか、どのくらいの深さまで及んでいるかを詳しく調べるため超音波内視鏡検査を行うことがあります。超音波内視鏡検査では、目的の病変に細い針を刺して組織や細胞を採取する超音波内視鏡下穿刺(せんし)吸引術(Endoscopic Ultrasound-Guided Fine-Needle Aspiration:EUS-FNA)が行われます。

小腸内視鏡検査:
小腸粘膜の観察にはカプセル内視鏡、バルーン内視鏡が用いられます。

CT検査/MRI検査:
CTはX線、MRIは磁気を使って、身体の断面を撮影する検査です。GISTの位置と大きさを調べます。

病理検査:
穿刺生検で採取した組織や細胞の顕微鏡的形態、KITと呼ばれるたんぱく質の有無を免疫染色によって調べることで、GISTの確定診断が行われます。また、細胞分裂の状態を観察して悪性度を調べ、治療効果の予測、再発リスクなどを評価します。

<治療>

外科手術:
GISTは胃がんや大腸がんと比べ、周囲の組織に及ぶこと(浸潤傾向)が少なく、リンパ節への転移も非常にまれとされているので、初発GISTの場合、腫瘍から1cm程度を確保して部分切除されます。発生箇所が胃や腸で、腫瘍の大きさが5cm以下の場合、腹腔鏡下手術で行われることがあります。

内科的治療(薬物治療):
初診時に転移があり切除できない場合や切除後に転移・再発し再手術できない場合には分子標的薬による治療が行われます。

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