病気・がん痔(肛門と直腸)

痔(肛門と直腸)

肛門は老廃物を便として身体から出す出口であり、直腸は便が肛門を通じて排出される前に、便を貯留している消化管です。

直腸粘膜は、大腸の他の粘膜と同様に粘液腺を含む組織からなります。一方、肛門の一部も腸で構成されています。直腸は痛みに対して鈍感であるのに対し、肛門とまわりの皮膚の神経は痛みに対して敏感です。肛門の筋肉(肛門括約筋(かつやくきん))は普段閉じた状態ですが、自律神経系によって制御されていて、随意に弛緩と収縮が行われています。

1.痔

痔は、動静脈を含んだ組織が腫脹したもので、直腸や肛門の壁内にできます。痔は炎症、出血、肥大を示しますが、肛門の中にとどまっているものは内痔核(ないじかく)、外に出ているものは外痔核(がいじかく)と呼ばれます。痔の出血は、排便時におこるのが典型的なもので、大量に出ることはなく、通常わずかな鮮血(せんけつ)です。このような症状の時、直腸と肛門について、腫瘍などの重大な病気がないか調べることは、非常に重要です。直腸と肛門の病気の診断には、まず、肛門の周りの皮膚を調べます。次に肛門鏡を使って、肛門と直腸の内部の診察を行います。S状結腸鏡を用いて肛門から直腸、S状結腸まで調べることもできます。肛門から内痔核の脱出と考えていたものが、直腸の絨毛(じゅうもう)腫瘍だったというケースもあります。

痔はがんの発生原因ではありませんが、痔と間違えやすい肛門の病気に注意し、専門医の診断を受けることを心がけることが重要です。

<治療>

痔の治療は、基本的には薬剤です。緩下剤、抗炎症作用の坐薬、軟膏により症状を改善します。薬剤でも対応出来ない場合には手術等の治療を選択します。

手術はできるだけ肛門の機能に影響を与えない方法がとられています。

軽い内痔:
(硬化剤注射療法)
内痔核ができる直腸粘膜は痛みを感じない場所なので、出血を抑えるために動脈に硬化剤を注射し痔核を固める方法です。

(輪ゴム結紮(けっさつ)法)
輪ゴム結紮器をつかって、内痔核の根元を輪ゴムで縛り血行を遮断して、内痔核を壊死させ便と一緒に排出させる方法です。

(内視鏡治療)
内視鏡を使って輪ゴム結紮法を行う方法で、使う器具は内視鏡だけなので、視界がよいためより短時間で出来ること、不快感が少ないという長所があります。

重い内痔:
(PPH法)
痔核の上の直腸粘膜を切除し、内痔核を上にひっぱりあげて内痔核が出ないようにする方法です。痔核は消失はしませんが、小さくなるとも言われています。

2.裂肛(れっこう)

固い便などの大便により、肛門に損傷が生じ、排便中やその直後の痛みと出血をおこすものです。

<治療>

便を柔らかくする軟化剤の使用が有効で、直腸通過が潤滑になると痛みがとれます。症状のひどいときは手術も選択します。

(LSIS法)
最も一般的に行われている手術です。肛門括約筋(かつやくきん)に切れ目をいれる手術で、これで肛門が広がり排便時の障害が楽になります。

3.肛門直腸膿瘍

肛門と直腸の周囲に細菌がはいって化膿し、皮膚の下の膿瘍が腫れたり、赤くなったり痛みを生じます。肛門の周りだけでなく、直腸触診で直腸内の柔らかい膿瘍を発見できます。

<治療>

抗生物質だけでは対応できないので、基本的に膿瘍を切開して膿汁を排出させます。すべて排出した後に、肛門直腸瘻(膿が出る異常な交通路)が生じることがあります。痔ろうともいいます。痔ろうになると薬では治せなく、手術になります。

痔ろうには症状により4つの型があり、症状に応じた手術法が行われます。

(開放手術)
痔ろうを括約筋ごと切除します。浅い痔ろうが対象であり、肛門機能にも大きな影響を与えません。

(括約筋温存手術)
深い痔ろうの場合、括約筋と一緒に大きく切除すると、排便を我慢するのが難しくなる問題があります。そこで、痔ろうの膿の出口と入り口だけを切除し、括約筋を温存する方法がとられます。

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