病気・がん胃がんの検査

胃がんの検査方法には、早期発見のために胃がん検診として推奨されている胃内視鏡検査・胃部X線検査(バリウム検査)をはじめ、さまざまな検査方法があります。それぞれの検査方法の特徴について解説します。

検査:胃内視鏡検査

胃内視鏡検査は、先端にCCDなどの小型撮像素子を搭載した内視鏡を口もしくは鼻から挿入し、直接、消化器粘膜を観察する検査です。

胃内視鏡検査では、胃粘膜の様子、色、形態の変化から、胃がんのほか炎症や潰瘍などを見つけることができます。病巣(びょうそう)部を直接観察できることが大きな特徴で、主病巣の位置や大きさだけでなく、病巣の拡がりや表面の形状(隆起(りゅうき)や陥凹(かんおう)、色調などから、病巣の数やある程度の深達度(しんたつど)が判断できます。さらに、光デジタル法による画像強調観察技術(NBI:Narrow Band Imaging=狭帯域光観察)によって、粘膜表層の毛細血管や深部の血管が強調表示された鮮明な画像から、通常の光では発見しにくかったごく小さな病変の早期発見に貢献しています。

内視鏡検査のもう一つの大きなメリットは、検査中に病変が見つかった場合、鉗子と言われる処置具を使って直接組織を採り(生検:せいけん)、病理検査ができるため、病気の判定に役立っています。

胃内視鏡検査は、任意型検診や、胃部X線検査(バリウム検査)で陽性となった(病気が疑われた)場合の精密検査として行われていましたが、複数の研究によって胃がんによる死亡率を減少させる効果があると判断されたことから、平成28年度より対策型検診としても推奨されるようになりました。

一般的に内視鏡を挿入して観察している検査時間は、5~15分程度かかります。また、内視鏡で治療を行う場合や患者さんが強い不安を感じている場合には、苦痛を感じにくくするために鎮静剤を使用することもあります。

  • ※胃がん検診として受診する場合には、検診の実施主体により、検査方法、自己負担額、受診できる医療機関などが異なる場合があります。詳しくは、職場の健康管理窓口、またはお住まいの市区町村(がん検診担当窓口)にお問い合わせください。

胃内視鏡検査イメージ

胃の内視鏡写真
胃の内視鏡写真

検査:胃部X線検査(バリウム検査)

造影剤であるバリウムと、胃を膨らませる発泡剤を飲んで行うレントゲン検査です。胃全体にバリウムを付着させるために、検査台の上に乗って仰向けやうつ伏せ、左右に回転しながらX線を照射し、胃壁に付着したバリウムを撮影します。食事や飲料の摂取制限があり、検査後はバリウムが体内で固まらないように下剤を服用します。

胃のX線検査には間接X線検査と直接X線検査とがあります。

間接X線検査は、病変の発見を第一の目標とするもので、時間的、経済性、被験者の負担などから胃がん検診などで行われています。しかし、小サイズのフィルムを使用し、マニュアルどおりの体位で撮影するため、小さな胃がんや部位によっては進行性の胃がんも見逃す可能性があるので、近年、胃内視鏡検査を選択することが多くなっているようです。一方、直接X線検査はいわゆる精密検査で行われるX線検査で、2種類の造影剤の量を変えた二重造影法と、圧迫したり体位や方向を様々にかえて撮影する方法があります。良性・悪性の鑑別や病巣(びょうそう)の形態、浸潤(しんじゅん)範囲、深達度(しんたつど)の推定ができます。

胃がん検診として胃部X線検査を実施し病気が疑われる場合には、別途、精密検査として胃内視鏡検査を行います。

  • ※胃がん検診として受診する場合、検診の実施主体により、検査方法、自己負担額、受診できる医療機関などが異なる場合があります。詳しくは、職場の健康管理窓口、またはお住まいの市区町村(がん検診担当窓口)にお問い合わせください。

胃のX線イメージ

胃のX線画像
胃のX線画像

検査:超音波内視鏡検査(Endoscopic ultrasonography:EUS)

超音波内視鏡検査(EUS)は組織の構造が変化する部位で、音波が跳ね返ってくる現象(エコー)を利用して、跳ね返りの強さや部位を画像として映し出す検査です。体表からの超音波検査では胃や腸の中の空気や腹壁、腹腔(ふくくう)の脂肪、骨が、エコーをとらえて画像にする際に妨げになることがあります。また、体表からのエコー検査では検査目的とする対象臓器近辺までの画像を得るために超音波の減衰が少ない比較的低周波数の超音波により検査を行いますが、低周波数の超音波検査では分解能に限界があり、高い分解能を持った詳細な画像情報が必要となるがんの壁深達度(へきしんたつど)診断などには適しません。その欠点を改良したものが、超音波内視鏡検査です。超音波内視鏡は、内視鏡先端部にエコーを送受信する「超音波振動子」を兼ね備えた内視鏡です。超音波内視鏡検査では、超音波が胃など体腔内に溜まったガスを透過できない為、超音波振動子と観察部位との間に水を介在させて対応(脱気水充満法等)をしています。

胃壁の表面を観察する内視鏡検査とは異なり、粘膜下の状態をエコー像として観察する役割を果たします。5~30MHzという比較的高い周波数の分解能に優れた超音波内視鏡検査により、粘膜上皮(じょうひ)の病巣(びょうそう)だけでなく、病巣がどのくらいまで深く進展しているか、リンパ節の転移や、周りの臓器への浸潤(しんじゅん)などについての詳細な情報を得ることができます。その結果、内視鏡的治療が適応するかどうかの判断、進行性胃がんの場合はどこまで切除するかの境界線を決めるうえでの重要な情報を得ることができます。

超音波内視鏡先端部
超音波内視鏡先端部

脱気水充満法
脱気水充満法

超音波内視鏡画像
超音波内視鏡画像

検査:CT検査(Computed Tomography)

検査イメージ

CT検査(コンピューター断層撮影)は身体にあらゆる角度からX線照射し、得られた情報をコンピューターで解析するものです。造影剤を使う場合と使わない場合がありますが、造影剤を用いる方法では病変がより鮮明に描き出され、検査したい臓器やその周辺をミリ単位の断層写真として観察できます。CT検査の結果はX線検査や内視鏡検査の結果と総合して病気を判断することに役立っています。また、がん治療(化学療法放射線療法など)の効果の把握などにも用いられています。

胃がんが疑われた場合の精密検査のひとつとしてCT検査を行います。

CT検査は、胃がんそのものの発見には有益とはいえませんが、胃がんの周りの臓器への浸潤(しんじゅん)転移している病変の発見に有用です。

検査:PET検査(Positron Emission Tomography)

検査イメージPET(陽電子放射断層撮影)検査は、がん細胞が正常細胞よりも糖分を多く必要とする性質を活かし、陽電子を放出するブドウ糖に似た薬剤を利用し、体内での薬剤の分布を画像化する診断法です。CT検査やMRI検査が形態を画像化するのに対し、PET検査は細胞の活動性に応じて薬剤が集まる原理を利用することで、細胞の代謝の状態を画像化する検査です。また、PET検査は1回の検査で全身において、がんの検査を行うことができることが大きな特徴です。

しかし、全てのがんをPET検査で早期に発見できるわけでありません。薬剤の集積が少ない性質のがんもありますし、消化管粘膜に発生する極早期のがんの発見は困難です。また、薬剤は炎症部にも集まる性質をもつため炎症部とがんとの区別が難しいという問題もあります。

PET検査で発見されやすいがんとしては、肺がん、食道がん、膵臓がん、大腸がん、乳がんがあげられ、さらに、いままでの検診では見つけることが困難であった甲状腺がん、悪性リンパ腫、卵巣がん、子宮体がんが発見できることが期待されています。他胃がん、腎がん、尿道がん、膀胱がん、前立腺がん、肝細胞がん、胆道がん、白血病など場所によっては有用性が低い場合があるともいわれています。

平成22年4月から、PET検査は早期胃がんを除く全ての悪性腫瘍に保険が適応されるようになりましたが、他の検査や画像診断により病期診断、転移・再発の診断が確定できない場合に限定されています。その他の適応外の疾患や検診として受診する場合には全額自己負担となるため、かなり高額な検査になります。また、薬剤の製造装置および撮影装置の設備費用が非常に高く、検査可能な医療機関は限られています。

検査:ペプシノゲン検査

胃がんの検査の1つに、血清(血液の一部)を用いた検査方法があります。

採血による検査のため、大規模な人数の検査をするとき、第1段階として疑わしい症例を見つけだすのに効率的な方法です。

胃の細胞から分泌されている酵素に「ペプシノゲンI」「ペプシノゲンII」という酵素があります。この酵素は萎縮(いしゅく)性胃炎に関係が深いことがわかっています。血液中のこの酵素の量を測り、IとIIの比率から萎縮性胃炎を予測することができます。萎縮性胃炎の粘膜からは分化型の腺癌(せんがん:腺管構造をしているがん)が発症するリスクが高いため、血液検査によりリスクの高い方々を選別し、早期発見につなげます。この方法による胃がん発見率は間接X線検査(集団検診で行われている)に近い成績ともいわれています。

簡便で経済的なこと、また一度にたくさんの検体を調べられる効率性から、集団検診に間接X線検査とともに組み入れられています。

この検査により、病気が疑われる場合には、別途精密検査として胃内視鏡検査を行います。

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