2019年内視鏡検査に関する意識アンケート結果報告


田坂記念クリニック
山口芳美 先生

「おなかの健康ドットコム」(オリンパス株式会社)は、2019年2月4日から3月22日にかけて、全国の20歳以上の男女を対象に、内視鏡検査に関するイメージや意識を調査する「内視鏡検査に関する意識アンケート」を実施し、54,680人(男性:29,666人、女性:25,014人)の方からご回答をいただきました。今回のアンケートでは、2019年にオリンパス株式会社が創立100周年を迎えるにあたって、これまでの内視鏡の進化、これからの内視鏡への期待についてお尋ねしました。

今回のアンケート結果について、内視鏡検査の専門医である田坂記念クリニック・山口芳美先生にご講評をいただきました。

① 胃がん、大腸がんを早期発見した場合の5年相対生存率を正しく認識している方は少ない

Q:胃がんが早期に見つかり、治療を受けた人が治る割合はどのくらいだと思いますか。以下の中からひとつお選びください。

(男女計)

年代\5年相対生存率 29%以下 30-49% 50-69% 70-89% 90%以上
50歳以上合計 1.6% 4.5% 20.1% 42.6% 31.2%
40歳以上合計 1.7% 4.9% 21.8% 42.8% 28.8%
合計 1.9% 5.8% 23.6% 42.5% 26.2%

Q:大腸がんが早期に見つかり、治療を受けた人が治る割合はどのくらいだと思いますか。以下の中からひとつお選びください。

(男女計)

年代\5年相対生存率 29%以下 30-49% 50-69% 70-89% 90%以上
40歳以上合計 2.3% 6.4% 25.9% 40.1% 25.2%
合計 2.5% 7.4% 27.2% 39.9% 23.0%

胃がん、または大腸がんが早期に見つかり、治療を受けた人が治る割合はどのくらいだと思いますか?という質問では、ご回答いただいた結果と、実際の胃がん、大腸がんを早期発見した場合の5年相対生存率とに、開きがあることが分かりました。

今回、最も多く選ばれた選択肢は「70-89%」でしたが、実は、がんは0期あるいはI期といった初期の段階で治療できれば、がんと診断されてから5年後に生存している患者さんの割合を示す5年相対生存率は90%以上となります。

(表)病期別にみた各部位のがんの5年相対生存率(男女計)

胃がん、大腸がんともに、早期発見した場合の5年相対生存率を正しく認識している方の割合は、年齢が上がるとともに上がっていく結果になりました。ただし、胃がんについて正しく認識している胃がん検診対象年齢(50歳以上)の方は、全体の31.2%であり、大腸がんについて正しく認識している検診対象年齢(40歳以上)の方は全体の25.2%でした。このことから、胃がん検診対象年齢であっても正しく認識しているのは3人に1人、大腸がんになると更に減り、検診対象年齢であっても、正しく認識しているのは4人に1人ということが分かりました。

② 「90%以上」と回答した方の割合は、胃、大腸ともに内視鏡検査の受診経験のある方のほうが、無い方よりも多い。

Q:胃がんが早期に見つかり、治療を受けた人が治る割合はどのくらいだと思いますか。以下の中からひとつお選びください。

受診経験\5年相対生存率 29%以下 30-49% 50-69% 70-89% 90%以上
受けたことがある 1.4% 4.4% 19.8% 43.1% 31.3%
受けたことがない 2.5% 7.5% 28.2% 41.8% 20.0%

Q:大腸がんが早期に見つかり、治療を受けた人が治る割合はどのくらいだと思いますか。以下の中からひとつお選びください。

受診経験\5年相対生存率 29%以下 30-49% 50-69% 70-89% 90%以上
受けたことがある 1.9% 5.4% 21.9% 39.9% 30.9%
受けたことがない 2.9% 8.3% 29.7% 39.9% 19.3%

上部消化管内視鏡検査、大腸内視鏡検査を受けたことがある方のほうが、ない方よりも、がんを早期発見した場合の5年相対生存率を正しく認識していることが分かりました。ただし、検査を受けたことがある人であっても、「90%以上」を選んだ方は、胃、大腸ともに3割程度に留まっています。

胃がん、大腸がんは、早期に発見し、治療をすることが大変重要です。胃がん、大腸がんで命を落とされる方を少しでも減らせるよう、がん検診対象年齢の方は、定期的に検診を受けていただき、早期発見・早期治療を心がけるようにしましょう。

③ 内視鏡が進化した点として、「検査の精度」「内視鏡治療技術」「検査時の負担(つらさ)」の順に多く選ばれた

Q:内視鏡に関して過去から最も進化したと感じる点は何ですか?

  検査の精度 内視鏡治療技術 検査前の制限
(食事、下剤等)
検査時の負担
(つらさ)
合計 27.4% 26.1% 3.3% 21.9%
  検査時の負担
(検査時間)
検査時の負担
(費用)
検査後の制限
(車の運転、運動等)
胃や大腸以外の内視鏡技術
(耳鼻科、気管支、泌尿器、等)
合計 8.2% 3.9% 2.6% 6.6%

内視鏡に関して過去から最も進化したと感じる点は何ですか?という質問では、「検査の精度」(27.4%)「内視鏡治療技術」(26.1%)「検査時の負担(つらさ)」(21.9%)の順に選ばれており、これら3つの選択肢に回答が集中する結果となりました。一方、「検査前の制限(食事、下剤等)」(3.3%)「検査後の制限(車の運転、運動等)」(2.6%)「検査時の負担(費用)」(3.9%)については、すべて一桁台の回答率となりました。検査前後の制限よりも、検査時の精度、治療技術、つらさについて進化を実感している方が多いことが分かりました。

④ これまでの進化よりも、これからに期待されている点として「検査時の負担(費用)」が多く選ばれた

Q:これからの内視鏡に関して最も期待することは何ですか?

  検査の精度 内視鏡治療技術 検査前の制限
(食事、下剤等)
検査時の負担
(つらさ)
合計 19.0% 16.4% 7.8% 26.1%
  検査時の負担
(検査時間)
検査時の負担
(費用)
検査後の制限
(車の運転、運動等)
胃や大腸以外の内視鏡技術
(耳鼻科、気管支、泌尿器、等)
合計 7.0% 16.3% 1.7% 5.7%

これからの内視鏡に関して最も期待することは何ですか?という質問では、内視鏡が進化したと感じる点の質問と同様に、「検査時の負担(つらさ)」(26.1%)「検査の精度」(19.0%)「内視鏡治療技術」(16.4%)といった項目が多く選ばれていました。一方で、「検査後の制限(車の運転、運動等)」(1.7%)「胃や大腸以外の内視鏡技術(耳鼻科、気管支、泌尿器、等)」(5.7%)「検査時の負担(検査時間)」(7.0%)「検査前の制限(食事、下剤等)」(7.8%)については、すべて一桁台の回答率となりました。進化を実感している点と同様に、期待する点についても、検査前後の制限以上に、検査時の精度、治療技術、つらさについて期待している方が多いことが分かりました。また、進化を実感している点についての質問では回答者が少ないのに、内視鏡に期待する点についての質問で多く回答されたのが「検査時の負担(費用)」(16.3%)でした。これは、進化した点では3.9%とほとんど選ばれていませんでした。そのため、費用面について改善を期待する方が多くいらっしゃることが分かります。

内視鏡は、昔に比べると、体内への挿入部は径が細くしなやかになるなど、その技術は進化を続けています。また、鎮静剤により負担を和らげる検査方法の改善も進められています。内視鏡に対するつらさや費用といった先入観にとらわれることなく、検査の必要な方は、定期的に受診することで、早期発見・早期治療を心がけるようにしましょう。

詳細は、以下の各アンケート結果ページをご参照ください。

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