2018年内視鏡検査に関する意識アンケート結果報告


田坂記念クリニック
山口芳美 先生

「おなかの健康ドットコム」(オリンパス株式会社)は、2018年2月5日から3月23日にかけて、全国の20歳以上の男女を対象に、内視鏡検査に関するイメージや意識を調査する「内視鏡検査に関する意識アンケート」を実施し、53,429人(男性:29,763人、女性:23,666人)の方からご回答をいただきました。

今回のアンケート結果について、内視鏡検査の専門医である田坂記念クリニック・山口芳美先生にご講評をいただきました。

①女性のがん検診受診に際し、女性特有のものかそうでないかで大きな温度差

Q:今までに受けたことがある「がん検診」全てお答えください。

(女性 年代別)

  年代
胃がん検診 20-39歳合計 8.3%
40-49歳合計 35.9%
50歳以上合計 52.4%
大腸がん検診 20-39歳合計 6.3%
40-49歳合計 32.5%
50歳以上合計 45.0%
肺がん検診 20-39歳合計 3.0%
40-49歳合計 19.3%
50歳以上合計 27.5%
乳がん検診 20-39歳合計 42.7%
40-49歳合計 78.4%
50歳以上合計 79.4%
子宮頸がん検診 20-39歳合計 69.7%
40-49歳合計 79.7%
50歳以上合計 73.0%
  • ※黄色部分は検診対象年齢以上(胃がん検診については、2016年に国の方針が新しくなり、対象年齢が40歳以上から50歳以上に引き上げられました。移行措置として、当分の間、40歳以上を対象に、胃部X線検査が行われる場合もあります。)

今までにどの「がん検診」を受けたことがありますか?という質問では、女性の場合、がん検診が女性特有のものかそうでないかによって、大きな差があることが分かりました。子宮頸がんの場合は、検診対象年齢が20歳以上となっているので、経験者が多いのは納得できるのですが、大腸がんと乳がんを比べると、検診対象年齢は同じ40歳以上にも関わらず、検診経験者の数は、乳がんが大きく上回ります。女性特有のがんに対する備えももちろん重要なのですが、実は、女性で最もお亡くなりになる方が多いがんは、乳がんではなく、大腸がんなのです。そのことについては、次の設問でお聞きしており、以下の結果が出ています。

② 女性のがんによる死亡原因として、乳がんが一番多いと答えた人が最も多かったが、大腸がん検診受診の女性は、“大腸がんが死亡原因としては最多”ということを正しく認識している方が多い

Q:女性で年間死亡者数が最も多いのは、どの部位のがんだと思いますか?

  乳がん 大腸がん 胃がん 子宮頸がん 肺がん 膵臓がん 肝臓がん
男性合計 58.1% 15.6% 10.2% 11.3% 3.3% 1.0% 0.4%
女性合計 47.3% 30.1% 11.3% 7.0% 2.9% 1.0% 0.4%
合計 53.6% 21.7% 10.7% 9.5% 3.1% 1.0% 0.4%

女性の部位別がん死亡数が最も多いのは、先に述べたとおり大腸がんで、以下、肺がん、膵臓がん、胃がんと続き、乳がんは5番目になっていますが、アンケートでお聞きしたところでは、男女ともに半数前後の方が、乳がんが一番多いと思っていらっしゃるようです。ただし、男女別にみてみると、大腸がんと正しく答えた女性の割合は、男性に比べて約2倍に上ります。その点について、さらに詳しく調べてみました。

Q:女性で年間死亡者数が最も多いのは、どの部位のがんだと思いますか?

(女性 大腸がん検診受診経験 有無別)

  乳がん 大腸がん 胃がん 子宮頸がん 肺がん 膵臓がん 肝臓がん
大腸がん検診
受診経験あり
39.6% 41.5% 10.1% 5.2% 2.6% 1.0% 0.1%
大腸がん検診
受診経験なし
49.8% 26.3% 11.7% 7.6% 3.0% 1.0% 0.5%
合計 47.3% 30.1% 11.3% 7.0% 2.9% 1.0% 0.4%

大腸がん検診を受診されたことがある女性では、大腸がんと答えた方が乳がんを僅かながら上回って最も多くなっています。大腸がん検診を受けている女性では、“大腸がんが死亡原因としては最も多い”ということを正しく認識されて検診を受けている方が数多くおられるようです。

③ 大腸内視鏡検査を受けている女性は男性の約5-6割。未受診理由は「自覚症状がない」が最も多く、「入れるのがつらそう」「下剤がたいへん」「はずかしい」が男性を上回る

Q:これまでに大腸内視鏡検査を受けたことがありますか?

性別・年代 受けたことがある 受けたことがない
男性40歳以上合計 41.8% 58.2%
男性合計 38.6% 61.4%
女性40歳以上合計 27.9% 72.1%
女性合計 19.9% 80.1%

Q:(大腸内視鏡検査を「受けたことがない」と回答された方)大腸内視鏡検査を受けていない理由として、あなたのお考えに最も近いものを、以下の中から2つまでお選びください。

年代 自覚症状が
ないから
内視鏡を
入れるのが
つらそうだから
下剤の服用が
大変だから
はずかしいから 検査方法が
よくわからないから
男性40歳以上合計 38.4% 13.6% 4.3% 5.6% 3.3%
男性合計 37.8% 13.2% 4.0% 5.4% 3.5%
女性40歳以上合計 32.7% 17.9% 8.1% 10.1% 2.5%
女性合計 32.2% 16.1% 6.3% 8.8% 3.2%
年代 どこで
受けられる
のかわから
ないから
検査対象
年齢では
ないから
受ける
必要性を
感じて
いないから
忙しくて
時間が
ないから
病気が見つ
かるのが
怖いから
他の検査を
受けて
いるから
男性40歳以上合計 2.6% 0.8% 13.0% 3.9% 2.5% 6.2%
男性合計 2.8% 2.4% 13.2% 3.9% 2.4% 5.5%
女性40歳以上合計 1.8% 1.0% 10.8% 2.6% 2.1% 5.1%
女性合計 2.6% 5.5% 11.9% 2.4% 1.8% 3.1%

では、実際に大腸内視鏡検査を受けたことがある方はどのくらいいらっしゃるかというと、アンケートでは、検診対象年齢(40歳以上)の男性でも40%強、女性では30%を下回っています。未受診理由としては、「自覚症状がないから」が男女ともに最も多くなっており、男女の差を見ると、「内視鏡を入れるのがつらそうだから」「下剤の服用が大変だから」「はずかしいから」の女性の回答が男性の回答を上回っています。女性の方の多くが、大腸内視鏡検査をつらくてはずかしいもの、ととらえていることが伺えます。

大腸がんの早期の段階では一般的に自覚症状が現れません。大腸がん検診は、一次検査としては便潜血検査が行われます。検査の結果、便に血が混ざっているのが見つかった場合、精密検査として大腸内視鏡検査を受診いただきます。人間ドックなどで大腸内視鏡検査を任意に受診することも可能です。

最近の大腸内視鏡は、受診者の方の負担が少なくなるように、様々な工夫が施されており、大腸への挿入性が上がっています。また、下剤の改良や鎮静剤の使用を含めた検査技術も向上しています。大腸がんは、早期に発見できれば、高い確率で完治できる病気です。大腸がんで命を落とされる方を少しでも減らせるよう、精密検査が必要な方は、大腸内視鏡検査を受診していただき、早期発見・早期治療を心がけるようにしましょう。

詳細は、以下の各アンケート結果ページをご参照ください。

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