食道の外科手術はがんを切除する以外に、食道を再建するために腹部も切開しなければなりません。表層に限られた小さながんだけの場合には、内視鏡による治療(EMR)で取り去ることが可能になり、患者さんの負担は外科手術に比べ非常に軽くなりました。
食道がんの治療にEMRを選択するにあたってはいくつかの条件があります。
1つは深達度(しんたつど)です。浸潤(しんじゅん)が浅く粘膜固有層までの表在型のがんであることが第一です。この深達度のがんは転移の可能性がきわめて低いと考えられるためです。ただし、表層に拡大している状態や、多数の病巣がある場合は除外します。現在、患者さんの負担を考えて、粘膜筋板まで浸潤したがんにもEMRが検討され始めています。しかし、正確な深達度診断と病巣の悪性度を判断することは難しいため、粘膜下層に進んでいる疑いが少しでもあればEMRを行ったのち病理(びょうり)組織検査を行い、結果によっては更に外科的に切除し、完全な切除をめざします。
2つめは大きさです。腫瘍の大きさは、3センチ未満のものが対象になります。切除範囲が大きくなれば、術後の狭窄(きょうさく)や穿孔の危険がでてきます。狭窄に関しては、食道内粘膜の内腔周囲2/3までの病巣であれば切除可能です。 3つめとして病巣数も重要な要素です。離れた3〜4つの病巣であれば1度に切除可能です。
また、本来外科的手術が必要な患者さんでも、何らかの理由により手術を行うことが出来ない場合等の消極的選択として、内視鏡治療が行われることもあります。 |