カプセル内視鏡
実用化されたカプセル内視鏡の概要と課題
オリンパスの小腸用カプセル内視鏡は、超小型撮像素子を内蔵した外径11mm、全長26mmのカプセル型をしています。
低消費電力での撮影機能と無線送信技術が搭載されています。口から飲み込んだカプセル内視鏡は消化管の蠕動運動によって消化管内部を移動してゆき、内蔵されたカメラが撮影した画像を体外に送信し画像診断をおこないます。
カプセル内視鏡には、内蔵されたバッテリーのパワーと作動時間の問題、見たい部位への誘導が不可能なことなど課題も残されています。
これらの問題を克服し、現在普及しているチューブ型の内視鏡の機能に近づくのはまだまだ将来のことになりますが、さまざまな研究開発が進められています。
カプセル内視鏡
全方位誘導システム
通常の内視鏡は、操作部や手元側の挿入部を医師が直接コントロールをして使用しますが、カプセル内視鏡は医師が手で触れることができないので、見たいところへ誘導するには、体外からコントロールできるような仕組みが必要になります。そこで、オリンパスではそのような仕組みの一つとして磁気を利用して、消化管内のカプセルを自由自在に誘導する技術開発を行っています。これは、カプセル内視鏡のなかに磁石を内蔵し、「体外磁場発生装置」により磁場を任意の方向に発生させて、カプセル外表面に設けたねじのような螺旋によりカプセルを回転させ、体外からカプセル内視鏡の進行方向をコントロールするものです。東北大学電気通信研究所 石山研究室の協力を頂いております。
均一な磁場を発生させることができる対向型電磁石をXYZの3軸に配置することで任意の方向に磁場を発生することが可能になります。
体外磁場発生装置が発生させる回転磁界により、磁石を内蔵したカプセルを回転させカプセル外表面に設けた螺旋によって推進力を得ることができます。
自走機構 (相対螺旋式・キャタピラ式)
カプセル内視鏡の自走機構は、全方位誘導システムと同様、カプセル内視鏡を思いのままにコントロールするシステムですが、磁場のような外部からの力を利用するのではなく、カプセル自体に移動する機能を搭載することができないかというテーマで取組んでいる技術です。
例えば、相対螺旋式はカプセルの外周に螺旋状の突起を設け、カプセルを回転させることで前後方向に推進力を得る原理で、キャタピラ式はカプセルの外周に複数のキャタピラを取り付けて消化管の内壁を自在に移動可能にするという原理です。