用語集
あ
圧痛(あっつう) | 押さえられているように感じる痛みおよび押さえると増す痛み。内臓の痛みをはかる触診で、痛みの部位を推定することができる。 |
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アフタ性潰瘍 (あふたせいかいよう) |
口腔内にできる良性の潰瘍。鮮紅色の領域に囲まれた白または黄色の潰瘍で、痛みを伴う。 |
異形成(いけいせい) | ある組織に異なった組織が生じる状態。組織奇形であるが、原因は不明。組織が間違った方向へ分化した発育異常と考えられている。 |
異時性がん | あるがんが発生してから1年以上経って発生するがん |
萎縮(いしゅく) | すでに発育した臓器または組織の細胞が減少または縮小して、臓器または組織の容積が減少した状態。 |
インターフェロンγ(ガンマ) | 免疫のはたらきに深く関係する分子。結核菌に感染すると免疫細胞によって作り出されることから、感染の有無を調べる指標に使われる。 |
エコー | 超音波をあて、跳ね返ってくる反射波。組織の構造の変化する部位では異なる反射波が得られる。 |
壊死 | 身体を構成する組織や細胞の一部が死んでしまった状態 |
壊疽 | 壊死(組織や細胞の一部が死んでしまった状態)した細胞が乾燥したり、細菌感染したりして、見た目や形が周囲の同じ組織とは変わってしまった状態 |
延命率 | 病気の診断を受けた人が治療期間をふくめて一定期間生存できる確率。 |
黄疸(おうだん) | 肝機能の障害や胆管の閉塞などにより、血中のビリルビン濃度が高くなって皮膚や各組織にたまり皮膚が黄色く見える症状。 |
か
潰瘍(かいよう) | 皮膚や粘膜が深いところまで欠損した状態。浅いときにはびらん(I度)からその深さによってIV度まで分類される。炎症、循環障害、化学物質、圧迫、神経作用などが原因となる。組織の壊死、剥離、融解により潰瘍が形成される。 |
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郭清(かくせい) | がん細胞を確実に取り除くため、関係するリンパ節をすべて取り除くこと。リンパ節周囲の脂肪組織全体をまとめて切除する。悪性のものを払い清めるという意味。 |
過形成(かけいせい) | ある組織あるいは器官の構成細胞数が増加すること。 |
過誤腫性 | 組織を構成する細胞が過剰発育した組織奇形の一種。基本的には良性。 |
過誤腫性ポリープ (かごしゅせいぽりーぷ) |
正常の大腸粘膜が過剰に発育し、ポリープ状になったもので組織奇形の一種。多くは幼児期にみられる若年性ポリープで、直腸に散在して発生し出血しやすいポリープだが、がん化の心配はないとされている。 |
家族性大腸腺腫症 (かぞくせい だいちょうせんしゅしょう) |
大腸におよそ100個以上の腺腫(腫瘍性のポリープ)ができる疾患。遺伝子の変異によっておこる。大腸がんの発現確率が高いと言われている。 |
カルチノイド症候群 (かるちのいどしょうこうぐん) |
気管支や肺、腸管などに発生した腫瘍から分泌される物質により、下痢や皮膚潮紅(発汗を伴わない)、喘鳴(ぜいめい)、心不全、舌炎、口角炎などさまざまな症状が現れる疾患。 |
狭窄(きょうさく) | 管腔組織で内部が狭まり、内腔が狭くなること。食道などでおこると物の通過が悪くなる。 |
胸椎(きょうつい) | 脊椎の一部。上から椎骨、頸椎に続く胸のあたりに位置する12個の椎骨で、肋骨と連結する。 |
筋性防御 | 腹腔内に炎症が起こり、その部分の腹壁が反射的に緊張して硬くなること。 |
血管炎 | 血管の壁が炎症を起こしている状態。共通の症状として発熱、全身倦怠感、体重減少などが知られているが、その原因や炎症が起きている部位によって症状や治療法は異なる。 |
血行性転移 (けっこうせいてんい) |
がんが発生した部位を離れて血行を介して、他の部位で発育増殖すること。 |
膠原病 | 自己免疫疾患(免疫機能が自分の体の細胞や組織を攻撃してしまう病気)の一種。全身の皮膚や内臓などの結合組織に炎症が起きる。 |
好酸球性肉芽腫 (こうさんきゅうせい にくげしゅ) |
好酸球は白血球のひとつで寄生虫の感染に対する防御機構として働く。アニサキスが寄生すると、虫の穿入部周囲にこの好酸球が浸潤し、膿瘍が形成され好酸球性肉芽腫になる。 |
亢進(こうしん) | 病状、病態など進行すること。または圧力の上昇を示す場合もある。 |
高分化型腺癌 (こうぶんかがたせんがん) |
臓器や腺に発生する腺癌のなかで、顕微鏡で観察したときに形が明瞭で形がはっきりしている成熟した細胞(分化の進んだ細胞)ががん化したもの。 |
骨髄炎 | 細菌感染などにより起こる骨の感染症で、しばしば骨の内部にある骨髄が腫れる。 |
骨髄抑制 (こつずいよくせい) |
白血球、赤血球、血小板の血液細胞が造られている骨髄で、この機能が低下した状態。免疫力が低下し、感染しやすいなどの症状がでる。 |
さ
再建手術 | 手術でその一部を切除された胃や大腸の残りの部位をつなぎ合わせ、術後に消化管としての役割を果たせるようにする手術のこと。 |
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採石(さいせき) | 胆石などの石を生体内から取り出すこと。 |
砕石(さいせき) | 胆石などの石を細かく砕いて排泄させること。 |
サイトメガロウイルス | ヘルペスウイルス群に属するウイルス。通常感染しても症状はほとんどないが、免疫機能が低下していると、急性肺炎、腸炎、肝疾患などを引き起こす。 |
サルコイドーシス | 肺、眼、皮膚、心臓、神経、骨、筋肉など全身の組織に肉芽腫ができる疾患。自覚症状はないことが多いが、肺門リンパ節や顔などの腫れがあったり、盛り上がったブツブツができる。原因は不明。 |
敷石像(しきいしぞう) | 潰瘍の周りの粘膜が、丸い石を敷き詰めたように見える様子。 |
縦走潰瘍(じゅうそうかいよう) | 腸の縦方向にできた長い潰瘍。 |
腫瘍(しゅよう) | 細胞が過剰に増殖する状態。良性と悪性があるが、悪性の腫瘍はがんと呼ばれる。 |
腫瘤(しゅりゅう) | 細胞または臓器の一部に生じた境界の明瞭なはれもの。 |
ショック状態 | 何らかの要因で血液の循環が悪くなって組織に血液が回らなくなり、細胞死、臓器障害、多臓器不全へと陥った状態。放置すると生命の危機に至る。 |
進行性汎発性強皮症 (しんこうせいはんぱつせい きょうひしょう) |
免疫の異常から皮膚の線維化や、全身の組織に炎症や変性変化がおこり、末梢の血管が閉塞する慢性的自己免疫疾患。皮膚を中心に消化器など全身にさまざまな症状がでる。 |
浸潤(しんじゅん) | 細胞が周囲に散らばるように拡がっていくこと。がんなどの悪性腫瘍の特徴のひとつ。 |
振動子(しんどうし) | 内視鏡の先端についているエコーを送受信する装置 |
スクリーニング検査 | がんの可能性が疑われる人とそうでない人をふるいわける検査のこと。前者の場合は、精密検査によるがんの有無の確認を行う。 |
生検(せいけん) | 生体から病変の疑われる組織の一部分を採って顕微鏡などで観察すること。 |
精密検査 | スクリーニング検査によりがんの可能性が疑われた人が本当にがんなのかどうかを確認する検査のこと。 |
腺癌(せんがん) | がん細胞が腺腔を形成しているもの。粘液が多くみられる。Adenocarcinoma |
占拠部位(せんきょぶい) | 病巣の存在部位。病巣の存在部位は解剖学的に区分された統一名称でよばれる。 |
穿孔(せんこう) | 組織が破れて内容物が漏出すること。 |
穿刺(せんし) | 細い針を刺して、疑わしい組織や液体の一部を採取すること。これを用いて標本を作成し、病理判定をおこなう。 |
蠕動運動 (ぜんどううんどう) |
体内で物を移動させる機能としての筋肉の収縮運動。消化管は食物を、胆のうは胆汁をそれぞれ移動させる。 |
た
ダイオード | 半導体にはプラスとマイナスの電荷を持った2種類の半導体がある。ダイオードは、このふたつを接合させたもので、一定方向に電流を流す整流作用を持つ。 |
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治癒率(ちゆりつ) | 病気の診断を受けた人が治療を受けて治る確率。 |
腸上皮化生 (ちょうじょうひかせい) |
胃の粘膜が腸の粘膜に分化してしまう(腸の粘膜に置き換わってしまう)現象。 |
低分化型腺癌 (ていぶんかがたせんがん) |
臓器や腺に発生する腺癌のなかで、顕微鏡で観察したときに形がまだ明瞭でない未成熟な細胞から発生したがん。 |
転移(てんい) | がんが発生した部位を離れて血行あるいはリンパ行などを介して、他の部位で発育増殖すること。 |
呑酸(どんさん) | 胃の内容物が、胃から喉元まで上がってきて、再び下がること。口やのどに酸っぱい、あるいは苦い感じが込み上げてくる症状。 |
な
肉芽腫(にくげしゅ) | 塊をともなった高度の炎症 |
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膿瘍(のうよう) | 組織内に膿がたまった状態のこと |
は
敗血症 | 細菌が血液中で増殖し、全身に広がって生命に係わる重い症状を引き起こす感染症 |
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白苔(はくたい) | 白色の苔状物。一般的に、口の中、頬、舌などに出現することが多い。 |
瘢痕(はんこん) | 潰瘍などの傷が治った部位に残る、ひきつれたような跡のこと。 |
びらん | 皮膚や粘膜が浅く欠損した状態。深いときには潰瘍と呼ばれる。 |
腹腔(ふくくう) | 横隔膜より下の体壁に囲まれた内腔、各臓器と腹壁は腹膜でつつまれている。おなかの中。 |
腹膜炎(ふくまくえん) | 腹腔の内膜(腹膜)が感染などで炎症を起こすこと。腹膜はすべての腹部の器官と内壁をおおっている膜である。 |
腹膜刺激症状(ふくまくしげきしょうじょう) | 腹膜に炎症などの異常が起こったときに現れるさまざまな症状。筋性防御(腹部を軽く圧迫したときに腹壁が緊張して硬くなる)やブルンベルグ徴候(腹部を徐々に圧迫した後、圧迫を解除すると痛みを感じる)などがある。 |
腹膜転移(ふくまくてんい) | がんが発生した部位を離れて、腹腔内の他の部位で発育増殖すること。 |
浮腫(ふしゅ) | 水分が血管から組織に移行し、体の組織にふくまれる水分量が増加した状態。 |
分子標的薬(ぶんしひょうてきやく) | 正常な細胞を傷つけずに、がん細胞のみを攻撃するように作られた薬。がん細胞の表面に現れている特有のたんぱく質や遺伝子を標的にしている。 |
糞石(ふんせき) | 糞便が長時間にわたって大腸内に停滞すると、水分が腸から吸収されて硬くなり、石のようになってしまう。これを糞石という。 |
ヘルペス | ヘルペスウイルス。疲労や病気などで身体の抵抗力が落ちると発症しやすくなる。単純ヘルペス(口唇、陰部、鼻孔、口腔に小水疱を作る)、帯状疱疹ウイルス(神経節に感染して急性炎症、小水疱、疼痛を起こす)などがある。 |
扁平上皮癌 (へんぺいじょうひがん) |
がん細胞ががん病巣の中心に向かって扁平化し、そこに分化の段階がみられるような組織像のがん。 |
保存的治療 | 人体に傷をつけずに治療する方法、安静、薬物治療、理学療法、食事療法、経過観察などがある。 |
ま
未分化癌(みぶんかがん) | がん細胞を調べたとき、まったく分化(成熟)していなくて、もとの細胞の性質を確認できないもの。一般に悪性度が高い。 |
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免疫染色 (めんえきせんしょく) |
抗体を使って特定のたんぱく質を検出する検査方法。 |
免疫賦活剤 (めんえきふかつざい) |
免疫力を高める働きをもつ薬剤。 |
免疫抑制剤 (めんえきよくせいざい) |
身体に備わっている生体防御反応(免疫力)を弱める働きをもつ薬剤。 |
門脈(もんみゃく) | 消化管から肝臓へつながっている血管系。 |
や
癒着(ゆちゃく) | 手術、腹膜炎などにより結合組織の繊維束が他の器官に巻き付くこと。 |
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ら
罹患率(りかんりつ) | その病気にかかっている患者の割合。 |
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リンパ節転移 (りんぱせつてんい) |
がんが発生した部位を離れてリンパ管を介して、他の部位で発育増殖すること。 |
攣縮(れんしゅく) | 筋肉の収縮が数分~数10分続く状態。 |
瘻孔(ろうこう) | 二つ以上の内臓間、または内臓からからだの表面へ通じている通路。生まれつきのもの、炎症や痔瘻などのように分泌物や膿が出るための道としてできたもの、また人工的なものなどがある。 |
アルファベット
CRP | C-reactive protein(C-リアクティブ・プロテイン):CRPは、炎症反応の指標の一つ。陽性の場合、体内で炎症が起こっている可能性を示す。 |
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EIS(食道静脈瘤硬化療法) | endoscopic injection sclerotherapy 静脈瘤周囲あるいは静脈瘤内に硬化剤を注入し静脈瘤を縮小、消失させる方法。 |
EMR(内視鏡的粘膜切除術) | endoscopic mucosal resection 隆起している病変部位、或いは、平坦型、陥凹型の病変部の下に生理食塩水などを注入し隆起させたものに、スネアと呼ばれる金属の輪に高周波電流を流して切除する方法。 |
ENBD(内視鏡的 経鼻胆管ドレナージ法) |
endoscopic nasobiliary drainage 胆管炎や閉塞性黄疸などで排出されず胆管にたまった胆汁に対して、内視鏡を用いてドレナージチューブ(細い管)を挿入し、十二指腸、胃、食道を介して鼻から体外に出す方法。 |
ERBD(内視鏡的 逆行性胆管ドレナージ法) |
endoscopic retrograde biliary drainage 胆管炎や閉塞性黄疸などで排出されず胆管にたまった胆汁を、内視鏡を用いて十二指腸乳頭、胆管とドレナージチューブ(細い管)を挿入していき、胆汁の流れを維持する方法。 |
ERCP(内視鏡的 逆行性胆膵管造影法) |
endoscopic retrograde cholangiopancreatography 膵管、総胆管の出口である十二指腸乳頭にカテーテルを挿入し、内視鏡の先端から造影剤を注入して、胆管、膵管を選択的にX線造影する方法。 |
EST(内視鏡的 乳頭括約筋切開術) |
endoscopic papillosphincterotomy 十二指腸を内視鏡で観察しながら、十二指腸乳頭部に切開用ナイフを挿入し、高周波電流を流し、開口部を切開して拡げ、胆汁が出るようにする方法。 |
EUS(超音波内視鏡) | endoscopic ultrasonography 先端部に超音波を送受信する「超音波振動子」を兼ね備えた内視鏡を用いて、消化管の内面から超音波により粘膜下の断層像を画像化する検査法。 |
EVL(内視鏡的静脈瘤結紮術) | endoscopic variceal ligation 内視鏡を用いて、食道静脈瘤をリング状の治療具で結紮、壊死脱落させる治療方法。胃静脈瘤にも応用可能。 |
HLA-B51 | HLA(ヒト白血球抗原)とは免疫応答をつかさどり、疾患への感受性・抵抗性などに関わる遺伝子群で、最も種類が多い。 ベーチェット病の患者ではHLA-B51という種類の遺伝子を持つ人が多いことから、ベーチェット病の検査でHLA-B51の有無を調べることがある。 |
PCR法 | ポリメラーゼ連鎖反応。DNAの目的の部分のみを短時間で増やす研究の手法。 |
PDT(光線力学的療法) | がん親和光感受性薬物とレーザー光によって引き起こされる光化学反応を利用した治療法。使用するレーザーは低出力で、薬物はがん組織に多く集積するため、がん病巣を選択的に治療することが可能。 |
PET検査 | 陽電子を放出する性質をもった薬剤を利用し、体内での薬剤の分布を画像化する診断法。 |
QOL(生活の質) | Quality of life 患者の治療や延命だけでなく、闘病期間を充実して過ごすことを目指す医療。 |