内視鏡検査とは
内視鏡のメリットや、検査を支える技術について解説します。
内視鏡検査は、普段は見ることのできない体の中の様子を内視鏡を用いてモニターに映し出し、医師が直接リアルタイムに観察できる検査です。
また、異常が見つかった場合、内視鏡用の処置具により、 病理診断のための組織採取(生検)や、ポリープ切除等の処置も可能です。
動画「内視鏡用の処置具 操作イメージ」1分01秒
*「内視鏡」は、“胃カメラ”と呼ばれることもありますが、厳密には、“胃カメラ”はチューブ状の管の先端に搭載されたフィルムカメラで胃の中を撮影する、歴史上の医療機器のことを指します。
どんな病気が観察・診断対象?
上部消化管内視鏡検査
上部消化管(食道、胃、十二指腸など)が検査対象部位になります。検査は口または鼻から内視鏡を入れ、その経路上の部位の検査も併せて行われることが多くあります。以下は、検査の過程で疑われる主な病気の一覧です。
食道 | 食道がん、逆流性食道炎、ポリープ、食道静脈瘤(じょうみゃくりゅう)などの有無や程度 |
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胃 | 胃がん、胃炎、胃潰瘍、ポリープなどの有無や程度 |
十二指腸 | 十二指腸がん、十二指腸潰瘍、ポリープなどの有無や程度 |
大腸内視鏡検査
肛門から挿入する大腸用の内視鏡で、直腸から結腸、盲腸に至るまで、大腸全域を観察することが一般的です。
大腸 | 大腸がん、大腸ポリープ、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎などの有無や程度 |
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より負担の少ない検査を目指して
【上部内視鏡】鼻からも挿入可能な細い内視鏡
上部内視鏡検査では、直径約9-10mmの内視鏡が使用されてきましたが、現在は挿入時の苦痛軽減を目指した直径約5mmの内視鏡が登場しています。この内視鏡は、外径が細いことで、口からはもちろん、鼻から挿入することも可能です。鼻からの検査は、検査中に会話できる他、内視鏡が舌のつけ根を通らないため嘔吐感がなく、一般的に苦痛が少ないと言われています*。また、以前と比較し、この細い内視鏡の画質も向上しています。
*:鼻腔が狭い患者さんでは、鼻からの挿入が難しい場合や、痛みを感じたり鼻出血を伴ったりすることもあります。
詳しくはこちら:細径内視鏡と経鼻内視鏡検査
【大腸内視鏡】スムーズな内視鏡検査をサポート
大腸は長く、曲がりくねった形状をしています。そのため、内視鏡を大腸の奥へスムーズに進める(挿入する)ことが難しいケースもありました。そのため現在では、医師の内視鏡挿入・操作をサポートする様々な機能が搭載されています。スムーズな内視鏡の挿入は、患者さんの負担軽減や、検査時間の短縮につながるため、最近の大腸内視鏡には以下のような機能が搭載されているものが登場しています。
・内視鏡の硬さを変えられる機能
動画 「内視鏡の硬さを変えられる機能」(46秒)
任意に内視鏡の硬さを変えられる機能です。医師は腸管の湾曲や形状に合わせて内視鏡の硬さを変更し、挿入に適した硬さに調整しながら挿入することが可能です。
・内視鏡が腸壁に当たると自然に曲がる機能(受動湾曲機能)
動画 「内視鏡が腸壁に当たると自然に曲がる機能」(38秒)
大腸の大きく曲がった部分も、スムーズに通過するようサポートします。
より精度の高い検査のために
・がんの早期発見を目指した画像技術(NBI)
粘膜表層の毛細血管やそのパターンなどが強調して鮮明に表示される光学技術です。これにより、通常光による観察では見えづらかったがんなどの病変の早期発見に貢献することが期待されます。
詳しくはこちら:NBI(狭帯域光観察)
食道の通常光観察画像
狭帯域光観察画像
画像提供 : 井上晴洋先生 (昭和大学江東豊洲病院 消化器センター センター長・教授)
動画「(実際の内視鏡による)NBIのイメージ」(1分49秒)
・AI内視鏡
内視鏡においても、AIによってリアルタイムで画像診断を支援するソフトウェアが開発されました。これは、大腸の内視鏡画像をAIで解析し、検査中に内視鏡がとらえた画像に病変が映っているかを推測することで医師の診断を補助するものです。内視鏡検査中の画像をAI が解析することで、ポリープ・がんなどの病変の可能性がある場合、音とモニター画面上の色表示でリアルタイムに警告を発し、検出位置を枠で表示します。これにより、病変の見落とし防止をサポートします。
関連リンク:画像診断へのAIの導入
動画「AI内視鏡イメージ(音声あり)」(31秒)