超音波内視鏡検査
超音波内視鏡検査の役割(Endoscopic ultrasonography:EUS)
超音波内視鏡は、文字通り超音波(エコー)装置をともなった内視鏡で、消化管のなか(内腔)から超音波検査を行います。体表からのエコー検査と異なり、胃や腸の中の空気や腹壁、腹腔(ふくくう)の脂肪、骨が、エコーをとらえて画像にする際に妨げになることもなく、観察目的の近くから5~30MHzという比較的高い周波数の超音波により、高い分解能の超音波観察をすることが可能です。おもに上部消化管(胃、食道、十二指腸)、大腸、膵臓・胆道で使われ、各臓器の内部、周囲の臓器、血管、リンパ節などの情報がえられます。
超音波内視鏡画像
病理(びょうり)検査のために、超音波内視鏡ガイド下穿刺(せんし)(Fine needle aspiration:FNA)といって、超音波で粘膜下の状況を確認しながら細胞を採取することも可能です。
超音波内視鏡では、通常の内視鏡では見ることのできない組織の内部を観察することができます。食道、胃、大腸の粘膜の層構造を見ることができるので、潰瘍などの病巣(びょうそう)がどのくらい深くまで及んでいるか(深達度:しんたつど)や、表面には見えない粘膜下の腫瘍などを調べることができます。
また、超音波内視鏡は病巣の深達度診断の他、直接内視鏡で観察することが困難な部位(膵臓、胆のう、胆道)の精密検査としても行われます。胃や大腸など消化管の病変は、内視鏡画像を見ながら超音波端子を操作しますが、消化管外にある膵臓・胆道ではそれができないため、超音波画像に併せて端子を操作します。描出された画像が膵臓・胆道のどの部分であるかを、周囲の臓器や血管などを参考にして同定、確認を行います。
超音波内視鏡 スコープ全景
超音波内視鏡 先端部