コラム・インタビュー
胃がん検診と胃内視鏡検査

がん検診の目的は、がんを早期に発見し、がんで亡くなる人の数を減らすことですが、がんの検査にはさまざまな方法があります。
そこで国立がん研究センターでは、がん検診に関する国内外で行われた臨床研究を精査して、科学的根拠に基づき効果的ながん検診の方法を評価した『有効性評価に基づくがん検診ガイドライン』を発表しています※1。
胃がんに関しても、2015年3月に、最新知見を検討して改定した『有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン2014年版』が発表されました。その中で、50歳以上の男性・女性を対象とした対策型胃がん検診の方法として、胃部X線検査(バリウム検査)の他に、胃内視鏡検査が推奨されています。 これは、近年報告された国内外の複数の臨床研究が検討され、「胃内視鏡検査は胃がんによる死亡率を減少させる効果がある」と判断されたことによります。
そこで、厚生労働省でも「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針(2016年2月4日一部改正)」を改正し、対策型胃がん検診として問診とともに胃部X線検査(バリウム)もしくは胃内視鏡検査を推奨していく方針を発表しました(表1)。
厚生労働省では、市区町村や職場の健康保険組合などで行われる対策型胃がん検診が、この指針に基づいて行われることを推進しています。今後、50歳以上の方には、対策型胃がん検診として、胃部X線検査もしくは胃内視鏡検査の案内があるかもしれません。ご自身の胃がん検診について詳しく知りたい方は、お住まいの市区町村のがん検診担当窓口、または職場の健康管理窓口へお問合せください。
科学的根拠に基づくがん検診推進のページ(国立研究開発法人国立がん研究センター検診研究部 検診評価研究室)http://canscreen.ncc.go.jp/
(表1)2016年に改正された胃がん検診の指針
対策型検診※2
検診対象者
50歳以上の男女
受診間隔
2年に1回
検査方法
問診に加え、胃部X線検査(バリウム検査)または胃内視鏡検査のいずれか
任意型検診
検診対象者
希望者(特に定められていない)
受診間隔
希望者(特に定められていない)
検査方法
問診、胃部X線検査(バリウム検査)、胃内視鏡検査など受けることができる検査方法の種類は医療機関によって異なる(対策型検診よりも精密な検査が受けられる場合もある)
赤文字:2016年の改定で変更のあった項目
当分の間、胃部X線検査は40歳以上の男女を対象にして、1年に1回行うこともあります。
(参考資料)厚生労働省ホームページ「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針(2016年2月4日一部改正)http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000059490.html
2016年05月24日