おなかと内視鏡のコラム
女性と大腸がん
女性のがん死亡原因の1位は大腸がん
がんで亡くなる女性でもっとも多いのは、大腸がんだということをご存知ですか? 女性が注意しなければならないがんというと、多くの方が乳がんや子宮がんと答えるかもしれません。けれど、その他のがんについても、注意が必要なのです(図1)。
(図1)女性の部位別死亡数(年次推移)
国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」
人口動態統計によるがん死亡データ(1958年~2016年)より作図
治りやすいがんのひとつでもある大腸がん
大腸がんで亡くなる方が多いことも事実ですが、大腸がんは、早期発見して適切な治療を行えば、治りやすいがんのひとつともいわれています。
がんの治療成績を示す指標のひとつに、がんが発見されてから5年経過した後の生存者の割合を示す「5年生存率」がありますが、早期に発見された大腸がんの5年生存率は9割に上ります(図2)。
(図2)大腸がん累積5年生存率(全部位・病期別・男女計)
大腸癌研究会・全国登録 2000~2004年症例より作図
[参考] 大腸がんの病期
0期 | :がんの範囲が大腸の粘膜の中まで |
---|---|
Ⅰ期 | :がんの範囲が大腸壁の筋層まで |
Ⅱ期 | :がんの範囲が大腸壁の筋層より深いが、リンパ節転移はない |
Ⅲa期 | :がんが周囲のリンパ節(3個以下)に転移している |
Ⅲb期 | :がんが周囲のリンパ節(4個以上)に転移している |
Ⅳ期 | :がんが腹膜、肝臓、肺など遠い位置の臓器に転移している |
早期発見・早期治療のための大腸がん検診
大腸がんの早期発見・早期治療のためには、大腸がん検診を定期的に受けることが推奨されています。
40歳以上になると大腸がんにかかっている方の割合が高くなるといわれていることから(図3)、国では、40歳以上の方を市区町村などの自治体や職場が主体となって行う大腸がんの対策型検診の対象と定め、1年に1回受診することを推奨しています(図4)。
(図3)がん罹患率の年齢による変化(男女計:乳がん・子宮がんは女性のみの統計)
国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」
地域がん登録全国推計によるがん罹患データ(1975年~2013年)より作図
(図4)大腸がん検診の流れ
自覚症状がないからこそ受診が必要
大腸がんの早期発見と早期治療のために重要な大腸がん検診ですが、女性の大腸がん検診を受ける方の割合は、男性よりも少ないのが現状です。また、女性が受けるがん検診の中で比較したときも、乳がんや子宮頸がんといったがんに比べ、大腸がんの検診を受ける方は少ないことが分かっています※3。
- ※3 国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」
がん検診に関する統計データ(2018年03月01日更新)
検診を受けたほうがいいといわれても、自覚症状がなければ、ご自身にがん検診が必要だとは思えないかもしれません。けれど、初期の大腸がんにはほとんど自覚症状がなく、自分で気づくことは難しいといわれています。だからこそ、定期的な受診が欠かせないのです。
ここで、みなさんから、当サイトへ寄せられた、がん検診に関する体験談をご紹介します。
「父が大腸がんで他界した際、医師に言われた、“もっと早く内視鏡検査を受けていれば、早期発見できたはず”という言葉が耳から離れず、以来毎年内視鏡検査を受けております。」40代・女性
「父と母が2人とも大腸がんの内視鏡検査をして初期の腫瘍が見つかり、手術をしました。2人は5、60代です。身内が検査をしたことで最近凄く身近に感じていました。」30代・女性
- ※当サイト実施の「内視鏡の日」アンケートキャンペーン集計結果より
いかがでしょうか。こうしたコメントからは、自身や身近な方ががんになった体験をした方は、がん検診の重要性を強く認識していることが分かります。
みなさんもぜひ、図4で紹介した大腸がん検診の流れを参考にしながら、ご自身のため、家族のため、大切な人のため、大腸がん検診を受けてみてください。
大腸がんの早期発見・早期治療に結びつけるための対策型検診を受けたいと思った方は、知っておきたいがん検診(日本医師会)で各自治体のがん検診窓口を検索できます。お住まいの窓口に問い合わせてみてください。