iconRDI(赤色光観察)

胃や大腸などの病変を内視鏡で見ながら切除する内視鏡治療では出血を伴うことが多く、出血への迅速で確実な対処が重要となります。
RDI(Red Dichromatic Imaging)」は、粘膜などの深い部分にある血管や出血部分を見やすくし、内視鏡治療時に出血を起こすリスクを下げることや治療時間の短縮を目指した画像強調観察技術です。

RDIでは、通常の内視鏡観察で使用する白色光とは異なる光を用います。
通常の内視鏡観察では、光の三原色に当たる青色・緑色・赤色の光を用いる白色光により、自然な色合いで胃や大腸の中を観察します(以下、「通常光での観察」と呼びます)。これに対しRDIは、アンバー色(琥珀色)の光を緑色・赤色の光とともに用いる特殊な観察方法です。このアンバー色の光が、深い部分にある血管や出血部分を見やすくする役割を担うのです。

観察画像

通常光(白色光)での観察画像
通常光(白色光)での
観察画像

RDIでの観察画像
RDIでの観察画像

アンバー色の光には、赤色の光よりも血液中のヘモグロビンに吸収されやすい特性があります。
また、緑色の光よりも波長が長く、粘膜深部まで届きます。
この特性によりRDIでは、通常光での観察よりも、深い部分にある血管が見やすくなります。
そのため治療時に血管を避けることが容易となり、出血のリスクを下げることをサポートします。

また、内視鏡治療中の出血時には、内視鏡の視野全体が血液で赤くなってしまい出血部分の特定が難しいことがあります。
そのような状況下でもRDIは出血部分をとらえるのに役立ちます。RDIにより、出血部分や出血の流れを色の濃淡で容易に確認でき、止血すべき部分が分かりやすくなるのです。

胃や大腸の病変を切除する手術方法として近年、開腹手術に比べて入院日数が短く患者さんの身体への負担も軽い、内視鏡的粘膜切除術(Endoscopic mucosal resection:EMR)や内視鏡的粘膜下層剥離術(Endoscopic submucosal dissection: ESD)が注目されています。これらの治療時にRDIを用いることで、粘膜などの深部にある血管や出血時の出血部分が見やすくなり、出血の防止や、出血時の迅速で容易な止血処置をサポートします。また、止血処置時の医師の心理的ストレスを減らすことにもつながります。
これにより、より安全で効率的な内視鏡治療への貢献が期待されます。

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