病気・がん急性膵炎

急性膵炎

急性膵炎は膵臓の内部やその周囲に急におこる病変をいいます。
膵臓で大量に生産、貯蔵される消化酵素は、通常食事の刺激に応じて膵管を通って十二指腸に分泌された後に初めて活性化されます。しかし、何らかの要因により膵管の内圧が上昇したり、膵液分泌が過剰になったり、感染した胆汁が膵管内に逆流したりすると、貯留している消化酵素が膵管内で活性化してしまい、膵臓自体を消化してしまいます。この自己消化が膵炎です。重症化しなければ、一般に可逆的です。

<原因>

原因はアルコールであることが最も多く、次いで胆石ですが、原因不明も1/4ほどあるともいわれています。

<症状>

多くは、膵臓の浮腫を主徴とする軽症膵炎で後遺症もなく治ります。
まれに膵臓の血流障害が起こり、出血を生じて重症化することがあります。
重症化してしまうと、呼吸、循環、腎不全などの多臓器不全や、感染症を併発することがあります。

<診断>

急性膵炎臨床診断基準があり、以下のうち2項目以上を満たし、ほかの膵臓疾患や急性腹症を除外したものを急性膵炎としています。

1.上腹部に急性腹痛発作と圧痛がある。
2.血中、尿中、あるいは腹水中に膵酵素の上昇がある。
3.画像(腹部CT検査や腹部超音波検査)で膵臓に急性炎症に伴う異常がある。

急性膵炎は時々刻々と変化するので重症であるかどうかの診断を早期に行って、適切な治療法の選択を行うことが大切です。

<治療>

治療の原則は以下の4つです。

1.絶飲食とし、膵臓の安静をはかります。潰瘍や消化管出血を防ぐため、胃酸分泌抑制薬を使います。
2.輸液による栄養管理
3.蛋白分解酵素阻害剤を用います。急性膵炎の本態である自己消化している酵素を抑えます。
4.膵臓内、膵臓周囲の感染を防ぐため、抗生物質を使います。

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