病気・がん腸重積

腸重積

腸重積(ちょうじゅうせき)は0~2歳の乳幼児に発症することが多い、小児救急の代表的な病気ですが成人で起こることもあります。腸管の一部が後ろの腸管に引き込まれ、重なってしまう状態のことをいいます。小児では原因が特定できない特発性の腸重積症が多くみられますが、成人の場合は結腸がんなどの病変の影響で慢性的に進行するものが多く、原因となった病気の治療が必要です。重なった腸管が壊死(えし)するなど重症の場合は、腹膜炎や細菌感染を起こし死亡するおそれもあるので、迅速な処置が必要です。

腸管の重なり方
腸管の重なり方

<症状>

腸重積の3症状として嘔吐、腹痛、血便が挙げられますが、この3つすべてが初診時に揃うことはあまりありません。重積した腸管を腹部表面から腫瘤(しゅりゅう)(腫れ)として触れることがあります。小児の場合は、原因不明の不機嫌、声をあげて泣く、顔面蒼白、ぐったりしているなどの様子から判明することがあります。症状から腸重積が疑われる場合には、すぐに医療機関を受診するようにしましょう。

<原因>

小児に多い特発性の場合、かぜなどのウィルス感染による腸壁のリンパ組織の肥大や腸蠕動(ちょうぜんどう)の異常などが原因ではないかと考えられています。成人における腸重積の原因となり得る病気には小腸ポリープ、悪性リンパ腫、メッケル憩室、重複腸管などが挙げられています。開腹手術後に腸管の蠕動が亢進して起こることもあります。

<検査>

問診・触診:
繰り返し起こったり治まったりする腹痛、嘔吐、血便の有無などを調べます。また、腹部の触診(しょくしん)でソーセージ様の腫瘤があるかどうかを確認します。

超音波検査:
腸重積の箇所、重なり方を観察します。target-signと呼ばれる、弓の的に似た構造が見られることがあります。また、腸管に血流が認められるかどうかを確認します。

注腸X線造影検査:
造影剤を使って腸重積の箇所、重なり方を観察します。重積している箇所には、カニの爪に似た陰影が見られることがあります。

CT検査:
腸重積が起きている箇所を観察します。入り組んだ腸管壁、腸管組織、それを包み込む肛門側の腸管からなる三層構造が見られることがあります。また、腫瘍などの病気に伴うものかどうかを確認します。

大腸内視鏡検査:
腸重積の原因となった病気がある場合、その病変を観察することがあります。

<治療>

非観血的整復:
肛門側から空気圧や水圧をかけ、重なった腸の先端を少しずつ戻す治療法です。超音波やX線で観察しながら行いますが、内視鏡を用いて整復することもあります。非観血的整復は発症後12時間以内であれば行うことができます。非観血的整復後の再発率は10%と高く、そのうちの1/3は整復後48時間以内に再発すると報告されています。

観血的整復:
開腹手術、腹腔鏡下手術で腸の重なりや原因となった病変をとり除く治療法です。非観血的整復が不可能な例、非観血的処置が不成功だった例、何らかの病気を原因とする例などに行われます。

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