病気・がんS状結腸軸捻転症

S状結腸軸捻転症

何らかの要因によって腸間膜を中心にS状結腸がねじれて内容物が通過しにくくなったり、血行が障害されたりして出血、壊死(えし)穿孔(せんこう)などにつながるおそれがある疾患です。血行の回復が期待される間に緊急の処置を要します。
すべての腸管閉塞疾患のうちの10%未満と、比較的まれな疾患です。寝たきりの高齢者や精神疾患を有する方に多くみられますが、S状結腸過長(S状結腸が長い)や腸管固定不良(結腸が固定されずに腸間膜にぶら下がった状態)、妊婦の場合は若年者でも起こることがあります。

S状結腸軸捻転症が形成される過程
S状結腸軸捻転症が形成される過程

<症状>

腹部膨満感、強い腹痛、吐き気、嘔吐などの症状が現れます。
突然、腹部の激痛が出現し、吐き気、嘔吐を伴ったショック状態に陥ることがあります。便秘の高齢者が腹痛、吐き気などを訴え、腹部が著しく盛り上がっている場合は、S状結腸軸捻転症の可能性があります。

<原因>

先天的な要因として、結腸過長症、S状結腸間膜過長症、腸管回転異常などがあり、後天的な要因には、慢性的な便秘、薬物の連用、術後癒着、妊娠、高齢者、精神疾患による薬の服用などがあります。
高齢者の場合、加齢に伴って脂肪が減少し、臓器が移動しやすくなります。臓器が移動することで腸管の緊張がゆるんで常習の便秘、腸管の過長、慢性腸間膜炎などが続発し、S状結腸軸捻転症の発症につながると考えられています。
精神疾患患者の場合は、向精神薬の服用によって腸の蠕動(ぜんどう)運動が停滞したり、便意や痛みを感じにくくなったりしていることが関連すると考えられています。

<検査>

ねじれの箇所を探すためにX線検査、CT検査、造影検査などにより腸の形状や状態の変化を確認します。大腸内視鏡検査で腸粘膜の様子や狭窄の状態および通過の可否を確認します。

腹部単純X線検査:
はっきりと拡張した逆U字型のガス像や、巨大なコーヒー豆のように拡張したガス像の有無を確認します。

腹部CT検査:
腸間膜の一部が渦巻き状を呈する様子が確認されます。また、穿孔の有無を確認します。

注腸造影検査:
S状結腸が鳥のくちばし、あるいは筆先のように細まっていく様子が確認されます。

大腸内視鏡検査:
粘膜の様子(浮腫、充血、びらん潰瘍、出血、壊死など)を観察して、循環障害の有無および内視鏡が通過できるかどうかを確認します。狭窄部位を通過した後は、著しく拡張した腸管が観察されます。

血液検査:
白血球数などで炎症の所見を判断します。

<治療>

内視鏡が通過でき、粘膜壊死が認められなかった場合は内視鏡による整復治療が行われます。内視鏡が通過できない場合や、内視鏡による整復治療が不成功だった場合も緊急開腹手術が行われます。

内視鏡による整復治療:
腸管内のガスと内容物を吸引して減圧しながらX線透視下で内視鏡を挿入し、ねじれを解消します。
内視鏡的整復の成功率は75~90%と高い治療法ですが、短期間で再発することも多いため、再発防止を目的としたS状結腸切除術を行うこともあります。

開腹手術:
腹膜刺激症状があり、腸管粘膜に壊死・潰瘍・出血などが認められる場合は穿孔の危険があるため、内視鏡による整復を中止し、緊急的に開腹手術で捻転の整復またはS状結腸の切除が行われます。

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