病気・がん大腸ポリポーシス(消化管ポリポーシス)

大腸ポリポーシス(消化管ポリポーシス)

消化管に多数のポリープが存在する状態で、原因には遺伝性のもの(遺伝性ポリポーシス)と非遺伝性のものがあります。主なものは遺伝性のポリポーシスで、遺伝性ポリポーシスには腫瘍性ポリポーシスと過誤腫性ポリポーシスがあります。
腫瘍性ポリポーシスは家族性大腸腺腫症(Familial Adenomatous Polyposis : FAP)とも呼ばれます。発生頻度は17,400人に1人とまれです。良性腫瘍として発症しますが、放置するとほとんどの場合で大腸がんの発症に至ります。過誤腫性ポリポーシスにはポイツ・ジェガース症候群、若年性ポリポーシス、カウデン病があり、発生頻度はそれぞれ25,000~28,000人に1人、16,000~100,000人に1人、200,000~250,000人に1人と報告されています。非常にまれな疾患ですが、大腸以外の組織にも悪性腫瘍が発生する確率が高いため、全身の検査が必要です。
非遺伝性で非腫瘍性のポリポーシスには炎症性ポリポーシス、過形成性ポリポーシスなどがあります。

<症状>

自覚症状:
一般に自覚症状はなく、便潜血検査で陽性の場合に精密検査で発見されることが多くあります。消化器がんが発生すると下血、血便、下痢、腹痛などが現れます。

ポリープの特徴:
1. 家族性大腸腺腫症(Familial Adenomatous Polyposis : FAP)
概ね均一な大きさをした腫瘍性のポリープが100個以上びまん性に発生します。
100個程度(非密生型)発生する場合から、粘膜面を覆いつくす状態(密生型)まで広範囲に拡がって発生する場合があります。

家族性大腸腺腫症

2.  ポイツ・ジェガース症候群
食道を除くすべての消化管に過誤腫性ポリープが散らばって発生します。大小混在で有茎性のものが多く発生します。
口唇、口腔粘膜、指先などに黒褐色の色素斑(=しみ)を伴うのが特徴です。

3.  若年性ポリポーシス
直径1㎝ほどで表面が滑らかな球形をした有茎のポリープ(若年性ポリープ)が数個~数十個散在して発生します。ブドウの房、八つ頭、鶏のとさかなどに似た形状を呈するポリープもみられます。また、無茎性で小さく平らなポリープや、発赤した隆起の表面に星芒状の構造も観察されます。若年性ポリポーシスで発生するポリープは過誤腫性であり、腫瘍性病変ではありません。

4.  カウデン病
カウデン病で見られるポリープは、大腸を含めて、すべての消化管に観察されます。
食道の中部、下部から全域にかけては微小な白色の隆起が密集して発生します。胃の前庭部から胃全体にかけては、比較的小型で均一な大きさの平滑な多発性ポリープが広範囲に拡がります。十二指腸、小腸ではリンパ濾胞(ろほう=完全に閉じた袋状の構造)、リンパ拡張などによる微細な隆起が多発します。S状結腸から直腸には半球状のポリープが密集して発生します。
顔面、口腔粘膜に丘疹(きゅうしん=ブツブツとした発疹)の多発がみられるのが特徴です。

<検査>

問診:
症状や家族歴の有無などを確認します。

上部消化管X線検査:
ポリープが発生している範囲を確認します。また、腸に悪性腫瘍が発生しているかどうかを確認します。

上部消化管/小腸/大腸内視鏡検査:
鑑別診断のために、単発のポリープか多発のポリープか、ポリープの形状、がん化の有無などを観察します。鑑別が困難な場合には生検を行います。

腹部骨盤CT検査、血液検査、骨X線検査など:
他の臓器に悪性腫瘍が発生しているかどうかや、転移の有無を確認します。

遺伝子検査:
患者さんや血縁者が遺伝子検査を希望する場合は、遺伝子検査の実施が検討されます。
血縁者の診断やFAPの原因遺伝子の特定を目的に行われます。

スクリーニング検査:
悪性腫瘍の早期発見を目的に、年に1回、検診を行います。

<治療>

手術療法:
家族性大腸腺腫症(FAP)の大腸ポリープは高い確率でがん化するので、予防的に大腸切除(大腸全摘・回腸嚢肛門吻合術)を行うことがあります。

内視鏡的ポリープ切除術:
ポイツ・ジェガース症候群、若年性ポリポーシスで1㎝以上のポリープは、腸閉塞の原因となりうるので内視鏡的ポリペクトミーでポリープを切除します。

悪性腫瘍治療:
過誤腫性ポリポーシスで大腸以外の臓器に悪性腫瘍が疑われる病変は外科的切除や薬物治療を行います。

術後サーベイランス(経過観察):
予防的大腸切除、悪性腫瘍切除後の患者さんは定期的にがん検査を行います。術後における悪性腫瘍の再発や、他の部位への転移がないか、早期発見を目的とします。

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