症状から病気を知る
胃もたれ・胸やけ

胃もたれ(食後の重苦しさや膨満感)や胸やけ(みぞおちの焼けるような感覚や呑酸)は、暴飲暴食や加齢による機能低下のほか、胃がんや逆流性食道炎などの消化器疾患が原因の可能性もあります。ここでは、注意すべき症状や考えられる疾患、受診の目安について詳しく解説します。
胃もたれ・胸やけはどんな症状?
「胃もたれ」とは、食後に胃が重く感じられたり、膨満感や吐き気などの不快感を感じたりする症状をいいます。一方、「胸やけ」は、みぞおちから胸のあたりが焼けるように感じたり、ムカムカやヒリヒリするような不快感がある症状をいいます。げっぷとともに、酸っぱい液体(胃酸)がのどまで込み上がってきたりすることもあります。胃もたれと胸やけ双方の症状をともなうこともあります。
【胃もたれの主な症状】
- 胃の重苦しさ
- おなかの膨満感
- 吐き気やむかつき
- げっぷが出る など
【胸やけの主な症状】
- みぞおちから胸あたりの焼けるような感覚
- ムカムカやヒリヒリする不快感
- げっぷが出る
- 胸あたりの違和感やつかえ感
- 酸っぱい液体(胃酸)がのどまで込み上げる(呑酸/どんさん) など
胃もたれの原因と注意を要する症状
「胃もたれ」は、暴飲暴食や胃の働きの低下などが原因で、消化不良が起こっていると考えられます。食べ物が胃で消化される時間は、内容によりますが2〜3時間ほどかかります。しかし、食事の量が多すぎたり、脂肪分や繊維質の多い食事など消化の悪いものを食べたり、よくかまずに早食いをすると、胃もたれが生じることがあります。
また、ストレスや不規則な生活で自律神経のバランスが乱れたり、妊娠中のホルモンバランス変化、老化などが原因で胃腸の働きが落ち、食後に胃もたれが起こることもあります。これらが原因である場合、時間が経過するとともに、胃の中の内容物が消化されて症状が緩和していきます。
しかし、食事のたびに胃もたれを起こす、食事していないときに胃もたれの症状を感じるなど下記の症状があるときは、なんらかの病気が疑われます。
【注意を要する胃もたれの主な症状】
- 食事のたびに胃もたれを起こす
- 数日間、食欲減退が続いている
- 胃もたれとあわせて咳が出る
- 夜間や空腹時など食事していないときにも感じる など
胸やけの原因と注意を要する症状
胸やけは、胃酸が食道に逆流して食道の粘膜を刺激することで起こります。暴飲暴食、甘いものの食べすぎや脂質の多い食事、アルコールや刺激物が原因で起こることもあります。これらが原因で起こる胸やけは、時間の経過とともに緩和し、症状がおさまっていきます。
一方、胸やけやげっぷがたびたび出たり、胸やその周辺の部位に痛みを感じるなど、下記の症状がある場合は病気が疑われます。
【注意を要する胸やけの主な症状】
- 胸やけがたびたび起こる
- げっぷが頻繁に出る
- 胸全体に強い痛みを感じる
- 睡眠をさまたげるほどの痛みや不快感を感じる
- 吐血や嘔吐、黒っぽい便が出る
- 背中、肩、腰、腕にまで痛みが広がる など
胃もたれ・胸やけの原因となる消化器疾患の例
胃もたれや胸やけは一時的な症状であれば食事内容や生活習慣などが原因と考えられますが、上記に挙げた注意を要する症状に当てはまる場合は、医療機関を受診しましょう。胃もたれや胸やけの原因となる消化器疾患は、主に次のような疾患があります。
慢性胃炎
慢性胃炎は、胃の腺細胞(胃酸を分泌している腺)が萎縮(いしゅく)を起こし、修復されずに進行していく病気です。繰り返し、もしくは持続的に起こるみぞおちの痛みが特徴です。空腹時や夜間などに胃もたれ、胸やけ、痛みが感じられることもあります。
急性胃炎
急性胃炎は、胃の粘膜に炎症を起こす病気で、急激に発症します。原因は暴飲暴食、飲酒、精神的ストレス、食中毒やピロリ菌への感染などがあります。胃の粘膜がただれることで、胃やみぞおちにキリキリと感じる鋭い痛み、胸やけ、吐き気、おなかの張りを生じます。嘔吐や黒っぽい便(出血がある場合)がみられることもあります。
逆流性食道炎
胃酸が食道に逆流し、食道の粘膜を刺激することで起こる病気です。食道の粘膜は、胃酸の刺激から身を守る仕組みがないので、胃酸に触れることで炎症を生じます。胃酸が逆流する原因は、胃と食道の間の噴門部にある食道への逆流を防ぐ筋肉(下部食道括約筋)の機能低下が考えられます。主な自覚症状は、胸やけ、胃酸が込み上げてくる呑酸(どんさん)です。
胃潰瘍
胃炎が進行して胃の粘膜がただれ、粘膜下層より深く組織が欠損した状態です。食後少し時間が経過すると、みぞおちの痛み、背中の痛みなどが起こり、食べ物を摂ると緩和する傾向にあります。胃もたれ、胸やけ、げっぷ、口臭、食欲不振、吐き気、嘔吐などが現れることもあります。潰瘍が進行すると、食後や空腹時など時を問わず痛むことがあります。
十二指腸潰瘍
十二指腸の粘膜がただれて潰瘍ができた状態です。胃酸による刺激と粘膜の防御の働きのバランスが崩れることで発症します。主な症状は腹痛で、特に夜間、早朝などの空腹時に起こり、食べ物を摂ると症状が緩和します。胃もたれ、胸やけ、食欲不振、吐き気、嘔吐をともなうこともあります。
食道裂孔ヘルニア
肥満や妊娠、喫煙、腹水、気管支喘息などの慢性的な咳症状などが原因で、胃と食道の間にある食道裂孔(しょくどうれっこう)がゆるみ、胃が食道のほうに飛び出してしまった状態です。自覚症状が出ないこともありますが、食べた物や胃酸が食道に逆流しやすくなるため、げっぷや呑酸などの胸やけの症状がみられることがあります。
食道アカラシア
口から入った食べ物や飲み物は食道の蠕動(ぜんどう)運動により胃に運ばれます。蠕動運動の障害や、食道への逆流を防ぐ筋肉(下部食道括約筋)が十分に働かなくなることで、食べ物の通過障害や食道の拡張が起こります。固形物や液体ないし液状物がうまく飲み込めない、嘔吐、胸や背中の痛みなどの症状が生じてきます。食道炎を合併すると、胸やけや胸痛をともないます。原因は不明ですが、中年期の発症が多くみられます。
機能性ディスペプシア
胃もたれ、胸やけ、吐き気、みぞおちの痛みなどの症状が慢性的に続いているにもかかわらず、病院で検査を行っても異常が認められない場合、機能性ディスペプシアと診断されることがあります。以前は「神経性胃炎」「ストレス性胃炎」と呼ばれていた症状ですが、胃の機能異常や胃酸過多、胃の知覚過敏、ピロリ菌、ストレスなどさまざまな原因が考えられ、まだはっきりと特定されていません。
胃ポリープ
胃ポリープとは、胃の粘膜上皮に局所的に隆起(りゅうき)が生じた病変です。一般的に無症状です。胃もたれや不快感、食欲不振などの症状がみられることもありますが、原因の多くは同時に発症している慢性胃炎によるものです。
胃がん
胃がんは、胃炎や萎縮(いしゅく)を起こしている胃粘膜から発生すると考えられています。萎縮が起こると萎縮性胃炎になり、腸粘膜に置き換わる腸上皮化生(ちょうじょうひかせい)が発生し、胃がんへと進展していきます。
初期の胃がんは、自覚症状が出ないケースが多いです。症状がある場合は、軽い腹痛や腹部不快感、食欲低下、吐き気、嘔吐、胸やけ、げっぷなど、胃炎やほかの胃腸の疾患でも起こり得る症状です。そのため本人は気づかず、検診などでがんが見つかるケースも少なくありません。だからこそ、症状が無く健康に過ごしていても、対象年齢の方は定期的に胃がん検診を受けることが重要となります。
進行すると、おなかの痛みや不快感などが強くなり、吐血や黒色便などの出血症状が出現することもあります。
気になる症状は医療機関で診察・検査を
胃もたれや胸やけがしばらく続いている場合、上記に挙げたような消化器疾患、あるいは他の内科疾患が原因であることが考えられます。日常生活に支障がない症状であっても、長引くと悪化するケースも考えられるので、自己判断をせずに医療機関で診察を受けましょう。
消化器疾患が疑われる場合は、X線検査や胃内視鏡検査が行われることがあります。内視鏡は食道・胃・十二指腸の粘膜を細部まで観察できるので、わずか数ミリの病変を見つけることもできます。





































